悲哀に美を感じるとき
石津智大×諏訪敦
WHAT MUSUEMでは2026年1月18日(日)に「諏訪敦|きみはうつくしい」関連トークイベント「悲哀に美を感じるとき」を開催いたします。
本トークイベントでは、神経美学者の石津智大をゲストに迎え、認知と美の関係性から諏訪作品を多角的に読み解きます。
神経美学は、美や芸術を知覚するときの脳の働きを研究する認知神経科学の領域で、美的体験の仕組みを脳のメカニズムから探る分野です。
諏訪の制作は美術史や技法研究にとどまらず、歴史学や民俗学、臨床医学など幅広い分野のリサーチに基づいています。
展示作品「emptiness」は、中世絵巻「長谷雄草子」をモチーフに、石津との協働で「脳が美を感じる仕組み」を探りながら制作したものです。
石津は神経美学の先駆的研究者であり、諏訪の制作にもたびたび影響を与えてきました。
本トークイベントでは、諏訪作品に通底する「死」や「喪失」といった悲哀のイメージが、なぜ鑑賞者を惹きつけるのかについて紐解くとともに、「emptiness」をはじめとする出展作品を神経美学の観点から考察します。
また会場では参加者からの質問を受け付け、諏訪と石津が回答します。作家と研究者それぞれとのコミュニケーションを通して、展覧会や作品への理解を深める機会を提供します。
【開催概要】
日時 :
2026年1月18日(日)14:30〜16:00
登壇者※敬称略 :
石津智大、諏訪敦、宮本武典(モデレーター)
参加費 :
無料(別途入館料必須)
参加方法 :
オンラインチケットサイトより「悲哀に美を感じるとき」付き入館チケットをご購入下さい。
※12月19日㊎12:00より販売開始いたします。
定員 :
60名(事前申込制・先着順)
当日受付時間 :
11:00~14:20
※開始10分前までに当館1階にて受付をお済ませください。
※イベントの前後で展覧会「諏訪敦|きみはうつくしい」をご鑑賞いただけます。
会場 :
WHAT MUSEUM
(〒140-0002 東京都品川区東品川 2-6-10 寺田倉庫G号)
主催 :
WHAT MUSEUM
【プロフィール】
石津智大(いしづ ともひろ)
神経美学者。1979年、東京都生まれ。慶應義塾大学大学院にて心理学博士号を取得後、渡欧。ウィーン大学心理学部リサーチフェロー、ロンドン大学生命科学部シニアリサーチフェローなどを経て現職。
芸術的創造性や美的感性について、脳、こころ、身体の反応の計測と人文学の理論をつなげて研究する神経美学が専門。
著書に「神経美学−美と芸術の脳科学−」(共立出版)、「泣ける消費」(サンマーク出版)など。広島大学脳・こころ・感性科学研究センター客員教授を兼任。
諏訪敦(すわ あつし)
画家。1967年、北海道生まれ。武蔵野美術大学大学院造形研究科修士課程美術専攻油絵コース修了。
1994年に文化庁芸術家派遣在外研修員としてスペインに滞在。1995年にスペインの第5回バルセロ財団主催 国際絵画コンクールにて大賞受賞。
2018年より武蔵野美術大学造形学部油絵学科教授。
主な展覧会に「諏訪敦絵画作品展 どうせなにもみえない」(諏訪市美術館、2011年)、「諏訪敦 HARBIN 1945 WINTER」(成山画廊、2016年)、「諏訪敦 眼窩裏の火事」(府中市美術館、2022年)ほか。
宮本武典(みやもと たけのり)
キュレーター。東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻准教授。
アーツ前橋チーフキュレーター。1974年奈良生まれ。
キュレーションした主な展覧会に「石川直樹 異人 the stranger」(2012)、「隈研吾 石と木の超建築」(2020)、「new born 荒井良二」(2023~)、「山縣良和 ここに いても いい」(2024)などがある。
現在、アーツ前橋で2026年1月開幕の「向井山朋子 Act of Fire」をキュレーション中。「山形ビエンナーレ」など芸術祭の立ち上げも手がけており、前橋国際芸術祭2026プログラムディレクターに就任。
【「諏訪敦|きみはうつくしい」について】
現代日本の絵画におけるリアリズムを牽引する画家、諏訪敦。
卓越した描画技術で対象に肉薄する諏訪の作品は、徹底した取材に裏付けられ、近年では戦争で亡くなった人々や、神話や古典文学の登場人物など、不可視な存在を描くリサーチプロジェクト型の絵画制作が高く評価されています。
本展は、最新の大型絵画「汀にて」を中心に、そこに至るまでの画家のクロニクルを、過去の主な作品群とともに物語っていきます。
コロナ禍にはじまったアトリエでの内省と孤立、戦争や災害で揺らぐ外界をよそに、母を介護し看取るまでの静かな日々の中で、「人間を描きたいという気持ちを徐々に失っていった」と語る諏訪。
本展は、稀代の肖像画家が再び人間を描けるようになるまでの克服の過程を開示するドキュメンタリーであり、精緻な眼と指を持つ故に「見ること、描くこと」を己に厳しく問い続けてきた諏訪の、現在進行形の思索と創造を紹介する展覧会です。